ご注意ください! 地震の際の電気火災!!
大規模地震発生時には同時に多くの場所で火災が発生することが危惧されていますが、東日本大震災による火災では、原因の特定されたもののうち、実に過半数が電気に起因したものでした。
地震火災では半数以上が「電気火災」
地震火災の発火源として、多くの方はガスコンロなどからの出火をイメージされているのではないでしょうか。
しかし、2011年の東日本大震災でのガスに起因する出火はわずか約4%でした。これは、地震時に揺れを感知してガスの供給を停止するマイコンメーターが、各家庭でほぼ100%普及していることや、ガス事業者による安全対策が講じられてきたことが、ガスを起因とした火災が少ないことに寄与しているものと考えられています。
東日本大震災における本震の揺れによる火災では、原因が特定されたものの過半数が電気関係の出火でした。地震が引き起こす電気火災とは、地震の揺れにともなう電気機器からの出火や停電が復旧した時に発生する火災(通電火災)のことをいいます。
通電火災は地震災害時に限らず、ほかの自然災害などで停電が発生した時でも起こるおそれがあるため、特に注意しなければなりません。
東日本大震災や阪神・淡路大震災における火災の出火状況から、大規模地震での電気火災は、主に以下のようなケースで発生することがわかりました。
~table of contents~
【大規模地震の電気火災出火事例】
◆電気ストーブ
地震の揺れによる落下物でスイッチが入り、接触した可燃物に着火
◆観賞⿂⽤ヒーター
地震の揺れにより観賞⿂⽤の⽔槽が倒れ、⽔槽内のヒーターが⾐類上に落下したため、サーモスタットが機能しなくなり過熱して⾐類に着⽕
◆電気コンロ
地震の揺れにより電気コンロが雑誌などの落下物の下敷きになり、ブレーカーを⼊れたところ出⽕
◆⽩熱灯
地震の揺れによりテーブル上の⽩熱灯スタンドがカーペット上に落下し、通電後に出⽕
◆電源コード
地震の揺れによりビデオデッキが落下し、その衝撃で電源コードが半断線になり通電後に出⽕
◆コンセント
地震の揺れにより観賞⿂⽤⽔槽が破損したため、⽔槽の近くにあったテーブルタップに⽔がかかり、通電後トラッキング現象が発⽣し出⽕
◆屋内配線
地震により損傷した倒壊建物の下敷きになった配線に通電したため出⽕
近年、首都直下地震や南海トラフ地震などの大規模地震の発生が想定されています。中でも首都直下地震については、木造住宅が密集した市街地での同時多発延焼火災などの危険性が指摘されており、個々の住宅で出火防止対策をしっかりと考えなければなりません。防災の日をきっかけに、家の防災対策を見直してはいかがでしょうか。
事前の備えで電気火災の防止を
地震がいつ発生するかを予測することは難しいですが、地震にともなって発生することが予想される電気火災は、以下のような適切な対策を行えば、その被害を軽減することが期待できます。
【日頃からの備え】
◆地震発生時に設定値以上の揺れを感知すると、ブレーカーやコンセントなどの電気を自動的に止める「感震ブレーカー」を設置する。
◆漏電ブレーカーや、配線の損傷や短絡を検出し電気を自動で遮断する、コード短絡保護機能が内蔵された住宅用分電盤を設置する。
◆日常使用している暖房機器は、対震自動消火装置や転倒OFFスイッチなどの安全装置付きのものを使用する。
◆ストーブなどの暖房機器や白熱灯の周辺は、整理整頓して可燃物を近くに置かない。
【地震直後・停電中の出火防止対策】
◆落下物や転倒物で電気コードに破損がないことを確認する。
◆避難する際は、電気のブレーカーを落とす。
◆停電中は電気機器のスイッチを切るとともに、電源プラグをコンセントから抜く。
【避難から戻った後・給電再開時の出火防止対策】
◆給電が再開されたら、浸水などにより電気機器が破損していないか、配線やコードが損傷していないか、燃えやすいものが近くにないかなど、十分に安全を確認してから電気機器を使用する。
◆建物や電気機器などに外見上の損傷がなくても、壁内の配線の損傷や電気機器内部の故障により、再通電後、長時間経過したのち火災に至ることがあるため、煙の発生などの異常を発見した際は、直ちにブレーカーを落とし消防機関に連絡する。
在宅中の発災時には適切に火災防止対策をすることが大切です。
また、災害の発生にともなう停電の復旧時に出火すると、もし避難して不在の場合、初期消火ができないおそれがあります。電気機器や周りの安全を確認してから外に出るようにしましょう。
大きな地震が発生した時、まずは自分の身の安全を守ることが大切です。
揺れが収まった後は、地震火災を防ぐための対処をしなければなりません。
東日本大震災による火災では、原因の特定されたもののうち過半数が電気に起因したものでした。電気火災を防ぐには、在宅時や避難後の不在時、停電時など、ケースごとの対策が必要です。今後に発生が懸念されている大規模地震では、大きな火災となることが指摘されています。万が一の「備え」もこの機会に見直してみてはいかがでしょうか。